インターネットによる通信の高度化とコンピュータの一般家庭への普及に伴い、未来像として議論された情報社会はもはや日常生活において実感できる社会へと変革を遂げた。また最近の携帯端末や高速無線通信の技術進歩は、さらなる高度情報通信社会への進展を期待させるものである。
 平成13年から施行した高度情報通信ネットワーク社会形成基本法は国家戦略として情報社会の構築を進めることを明らかにしたものであるが、基本方針の一つとして位置づけた“行政の情報化ならびに公共分野における情報通信技術の活用”は、国民の利便性の向上を図るとともに、行政運営の簡素化・効率化・透明性の向上に資することを目的としたものである。このような社会変革の中で、平成23年5月に“行政手続きにおける特定の個人を識別するための番号の利用等に関する法律”が施行されたが、この社会保障・税番号制度は、行政の効率化、国民の利便性の向上、公平・公正な社会を実現する社会基盤となる制度とされている。個人に個人番号を符番し(法人には法人番号)、個人が自分であることを証明する本人確認ができることや、各機関の間において同一人の情報を紐付けし相互に活用するなど、制度として確立したことは画期的なことと言えよう。
 しかし地方自治体においては、生活圏の広域化に対応すべく広域情報システムの推進、パッケージシステムを基本とした情報システムの構築、システム間連携の情報通信基盤の構築、コスト削減が期待される共同利用やクラウド化の検討、など多くの課題を抱えているなかで、組織間の情報連携から生じる技術的・社会的課題、特定個人情報保護評価の実施、パーソナル情報の取り扱いに対する課題、など新たな制度への対応に直面している。さらにこれらの対応は継続しての検討を要するところでもある。このような問題意識は地方自治体の職員にとどまらず、公共情報の有用性を意識する多くの方々が共有し、公共情報システムの高度化を社会的課題として対応していくことが重要であるとの考えに至った。そのために広く英知を集め、それを社会に還元していく組織的体制の創設が必要であると認識した次第である。
 このような考えのもとに、本機構は公共情報システムに関心を持つ有識者の参画により、広域・連携・オープンの精神をもって、広域情報化の推進ならびに官と官および官と民のとの情報連携から生じる諸課題の解決に向けた事業と提言活動をおこない、情報化社会のさらなる発展を目指すものである。

具体的な活動としては、
 1.公共情報に関する課題探索(調査研究)
 2.調査研究活動から得た知見の共有化と社会への還元(広報・啓発)
 3.その他、公共情報システムの高度化による情報化社会の発展に資する事業の支援(支援)
の3点を柱として、活動していくこととする。

本機構の設立趣旨をご理解いただき、多くの方々の参加をお願いする次第であります。
 
  代表理事   藤田 昌弘  
 
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